私は長年東京で暮らしていましたが、両親が高齢で老後のことを考え秋田に戻ってきました。

しかし戻ってきたはよいのですが、当時なかなか仕事が見つからず、パートやアルバイトなどを転々としていました。気が付けば2年半ほどが経っていました。

そんな状況の中、偶然広告で福祉関係の求人が出ているのを見つけ、ようやく不安定な生活から抜け出すことができました。

実際に介護の仕事に携わっていく中で次第に自分の経験を生かしたいと思うようになり、同時に自分の目指す理念のようなものができあがってきました。

もともといつかは会社を持ちたいと思っていましたし、なんとか独立して自分の夢を実現させようと考えるようになりました。

それからは積極的に創業に関するセミナーに参加したり、県内外の介護施設を訪問したりと5〜6年くらいかけて準備をすすめてきました。

実際創業するということは自分の中にあるなにか得たいの知れないものを掴み取るような感覚でした。
 
  創業当初は売上が思うように伸びず資金繰りに苦労しました。以前勤めていた施設から利用者を奪うわけにもいきません。

「営業して利用者にサービスを提供しそれが評価され紹介してもらう」という流れを早くつくらなければとあせる一方、職員の給料をはじめ固定費は待ったなしでかかります。売上がないためみるみる運転資金がなくなっていきます。

銀行も創業間もないため貸してくれないし精神的にかなりまいりました。本当に弱気になり「このままダメなんじゃないか」と考えるようにもなりました。

そのような状況でも地道な営業や利用者にきめ細かいサービスを心掛けるようにし、ケアマネージャーや知り合いから利用者を少しずつ紹介してもらったりしてどうにかやってこれました。
 
  自分がして欲しいと思うことをするように、全て自分に置き換えてサービスを提供するようにしています。「気配り、目配り、心配り」1人1人に対応したサービス、その人を認めて上げるサービス。

以前こんな方がいらっしゃいました。施設入所希望の方で施設に入るために、一時的に私共の施設に入りました。

その方は表情は非常に暗く、ご飯もあまり食べない。私達は何故表情が暗いのか?何故ご飯をあまり食べないのか?原因はなんなのか?をコミュニケーションをとりながらとことん追究しその方に合ったサービスを心掛けました。そうしているうちに、みるみる表情が明るくなり食欲もでてきました。

そんな時は本当に嬉しいですし、介護事業を始めてよかったと思います。
 
  私は利用者も職員も両方を大切にしています。職員には「よい給料」「やりがい」「よい雰囲気」の3つを大切にしていきたい思っています。

例えば積極的に資格を取得させ、資格を取得すれば給料に反映させる、又、職員の意見や悩みなどをよく聞くことも心掛けています。

職員が気持ちよく働ける職場を作ることによって利用者にもそれが伝わっていくと思っています。
 
  まず始めに言いたいことは失敗と成功は表裏一体ということです。

私も今までなんとかやってこれましたが、今後どのようなことが起きるかわかりません。

自分の会社の課題はなんなのか?ということを常に把握していないと、全て後手後手にまわり取り返しのつかないことになってしまいます。

創業がゴールではありません。創業はスタートです。

自分の長所、短所をよく理解した上で自分は何ができるかということを常に考えて行動することが大切だと思います。

企業組合秋田福祉サービス(ふきのとう)のホームページ